アタシたちの常識じゃない
アイデンティティの崩壊にさえつながりがねない、異国での暮らし。
日本人ならこの国で、いろんなことにイライラするだろうって思います。
海外でカルチャーショックはいくらでもあるし、若い子たちならすぐ慣れるでしょうけど。
アタシは海外進出が若くなかったので、完全には適応できないまま。きっとこれからももやもやしながら暮らすことでしょう。
でも、アタシが特に神経質ってわけじゃないと思う。
一番キツイのは、土足の習慣。
家の中に次から次へと泥を持ち込んで来る。ベッドの上には、靴と下着とお菓子の空袋が散乱。コーヒーテーブルに足を投げ出したり、電車なんかで、向かいの席に足を置くし。
びっくりするよりあきれること。電車内に「座席に土足厳禁」の警告が。子供でもわかるでしょ。でもそれはここの常識じゃない。
上も下もない土足文化は、マナー崩壊の一因じゃないかなとすら思う。人に気遣いを感じられない行動を簡単にする、横柄に振る舞うための習慣。
結局、自己中ですよ。だって、めんどくさいからでしょ、脱ぐのが。
先進国だけど、キレイだと思わない。
自分が汚したところは、どうせ誰かがキレイにしてくれるから気にしない。誰かが落としたゴミは、自分のせいじゃないから気にしない。そんな光景をよく見かけます。
ゴミ箱がいっぱいでもゴミを積み上げ、次の瞬間ゴミが落ちても、もうそれは自分のゴミじゃないのね。さっさと立ち去るだけ。
電車内で食べ物をほおばり、その食べくずを自分のお洋服から全部払い落とすとか。電車にゴミを放置して、「仕事をあたえてやってる」って思う人すらいます。
また、スーパーで商品が棚から落ちてても拾わない。それは店員の仕事って態度で無視。
こんなこともありました。アタシの目の前で陳列していた商品に当たって崩した人がいて、アタシが駆け寄って積み直している間、その当人はじっと見てるだけ。アタシを店員と勘違いしたにしろ、ずいぶんな態度だと思うよ。
こんな感じだから、街は汚い。店内も乱れてる。
掃除の時間ってそういうことだったんだ、って思う。
ここの学校、生徒には掃除の時間はなく、業者が代わりに行います。大抵は移民の働き手ね。
おうちでも、母親が身の回りの世話や掃除をすべてしてあげるところがほとんどみたいで。
日本でふつうに組み込まれている掃除の時間は、思いやりの精神を形成しますよ、マジで。
もひとつ日本人にとってショックなのはカスタマーサービス。
もはや、アタシが思うところのサービスとはえらくかけ離れてしまっていて、どうにもならない。
他人への思いやりが足りないんだから、カスタマーサービスの意味、わからないんだろうな。
銀行へ、郵便局でへ、保険会社へ、デパートへ行くたびに、嫌な思いにさせられるんじゃないかと不安になります。
事例はいっぱいありすぎるんだけれど、わからないことを「わかりません、聞いていきます」と言わずに(言えずに)間違ったことをさも正しいように言ったりさ。忙しい時、疲れている時にはそれを隠そうともせず、ため息まじりの対応だったりね。
まとめてしまうと、「自分が一番」的な威圧的な態度がすべての原因。そこになんの思いやりもないです。自分のことばっか。
人の振り見て、と言いますけど、こんなレベルなら、見て直さなくても、日本人なら間違いなく大丈夫。
でも、ここで生きなければならないのが事実。
このマナーの悪さに、非常識さに耐えられない人は日本に帰るんです。帰られない理由があるなら、なんとかしなければならない。
アタシの場合、慣れないし、まだいちいち腹が立つんだけど、少なくともアタシ自身は日本人から見て、非常識じゃない人間でいようと思うことで、どうにかやってます。
悪い意味でオーストラリアかぶれした非常識な日本人を見ると、帰りたくなりますけど。それが一番最悪だわ。